相場の世界では、数分後、数日後、数か月後と未来がどうなるのか、それは誰にもわかりません。
ただ予測することは不可能でも、もし相場が何かの法則に従って動いているとすればどうでしょうか?
その法則を知ることで、ある程度の動きの目安をつけることができます。
それが今回紹介するサイクル理論です。
FXチャート分析で役に立つサイクル論とは? サイクル理論の基本的な仕組みや使い方などを合わせて紹介していきます

FXチャート分析にはいろいろな方法があるけれど、トレンドの転換を読むには何を使ったらいいの?



ローソク足やチャートパターン、移動平均線なんかがトレンド分析によく使われているけど、ぜひ覚えておきたいのがサイクル理論。
今からサイクル理論について詳しく解説していくからしっかりと覚えていこう。
サイクル理論でトレンドの仕組みがわかる?


サイクル理論では、チャート分析というよりは、どちらかというと相場動向を読むための基本的な考え方と覚えておきましょう。
サイクル理論をマスターすることで、これまでと違った視点で相場を見ることができます。
サイクル理論とは?
サイクル理論とは、相場は1つのサイクルが連動して動いているということ。
もう少し分かりやすく解説すると、
「上昇のサイクル → 転換 → 下降のサイクル → 転換 → 上昇のサイクル…」
といった流れです。


基本的に相場はこの上昇と下降のサイクルを繰り返しているので、現在の相場がどの段階にあるかがわかれば、トレンド転換のタイミングも分かるようになります。
そして、このサイクルは通貨ペアや銘柄ごとにそれぞれ独自のサイクルを持っているのです。
サイクル理論では占星術・天文学が基盤となっています。
「星の動きや月・太陽などの天体の動き」と「相場の動き」には関連性があことが長年の研究から導き出されていて、天体の動きから1つ1つ異なる相場のサイクルを知ることができるという理論なのです。



ちょっと変わった分析手法だけど、占星術や天文学は物理学的に実証されている法則も多いんだよ。
じゃあ、次は誰がサイクル理論を考えたのか見てみよう。
サイクル理論のメリマンとはどんな人??
サイクル理論を考案したのは、Raymond Merriman/レイモンド A.メリマンという米国の現役アナリストです。
彼は1946年生まれ、現在52歳。セミナーや書籍、TV・ラジオなどで活躍中で、海外だけでなく日本でもわりと有名なのです。ラジオNikkeiで特集が組まれたこともあります。
1982年にメリマンが出版した「The Gold Book」という書籍にて、初めてサイクル理論が紹介されました。
この本では、ゴールドの相場動向と占星術との関連性が解説されています。占星術・天文学は古代から使われてきたこともあり話題を呼んだのです。
現在では中古で2万5千円のプレミアがついています。英語版にチャレンジしたい方はぜひお試しください。
占星術が投資判断に使われることはこれまでもあったようですが、メリマンのサイクル理論の登場で、占星術と金融を結び付けた「金融占星術・ファイナンスアストロロジー」という新たな分野が確立されたのです。
メリマン本人の公式サイトも公開されていて、英語版にはなりますが相場予想やこれまで出版された書籍などが入手できます。
サイクル理論をはじめメリマンの書籍は日本語版でも数多く出ています。
※興味がある方はAmazonや楽天で探すことができます。
サイクル理論の基本を学ぼう





相場分析に占星術を使うって、どういうことなの?



意外と面白い関係があるんだよ。じゃあ、次は占星術とサイクル理論の関係を見ていこう。
サイクル理論と占星術


占星術や天文学と聞けば、何となくメルヘンでファンタジーなイメージがあります。為替や株式など金融市場の動きとはまったく関係なさそうな世界です。
しかし、西洋では紀元前から星・天体の動きを見て、重要な日付や方向・場所を決めたりと占星術があらゆる分野で盛んでした。
占星術とは?
占星術とは、星や月・太陽など天体の動きから未来を予測する星占いのことです。星の並びや位置関係から、将来の良い知らせ・悪い知らせがキャッチできるといわれています。占星術を学問としたものを天文学といいます。
相場動向と占星術の関係
占星術と市場動向の関連性を見つけたのがメリマンのサイクル理論です。
メリマンは、過去の膨大なチャートと天体の動きを長年研究した結果、相場が天体の動きに合わせて一定のサイクルで上下していることを発見したのです。
メリマンのサイクル理論では、
- 相場はそれぞれ1つのサイクルを繰り返している
- 上昇トレンド・下降トレンドのピークがわかる
- 上昇トレンドや下降トレンドの転換ポイントがわかる
という理念で相場分析を行うのです。
サイクル理論 2つのパターン
サイクル理論のサイクルには2つのパターンがあります。
パターン1.下降トレン → 転換 → 上昇トレンド
パターン1は、下降トレンドで始まった相場が転換して上昇トレンドになるパターンです。


「下降トレンド → 下降トレンドが終わりを迎える → 上昇トレンドの始まり」
というように、下降トレンドで始まって上昇トレンドが終わるサイクルです。
パターン2.上昇トレンド → 転換 → 下降トレンド
もう1つのパターンは、上昇トレンドが始まって下降トレンドになるパターンです。


「上昇トレンド → 上昇トレンドが終わりを迎える → 下降トレンドの始まり」
というように、上昇トレンドで始まって下降トレンドが終わるサイクルです。
上昇トレンドで始まったとしても、下降トレンドで始まったとしても結局は上昇・下降を一定のサイクルで繰り返していくというのがサイクル理論の法則です。
7種類のサイクル理論
では、どのようなサイクルで上昇トレンドと下降トレンドを繰り返しているのでしょうか。
サイクル理論では7種類のサイクルがあります。
サイクルの種類 | おおむねの周期 | 時間足 | 概要 |
---|---|---|---|
1Dayサイクル | 1日 | 1分足~1時間 | 24時間程度の超短期サイクル |
4Hサイクル | 5~8日 | 1時間~4時間 | 1週間程度の短期サイクル |
トレーディングサイクル | 10~18日 | 4時間~日足 | 1週間~3週間程度の短期~中期サイクル |
メジャーサイクル | 20~25日 | 4時間~日足 | 3週間から1か月程度の中期サイクル |
プライマリーサイクル | 18~30週 | 日足~週足 | 5か月~7か月程度の中期サイクル |
メジャーサイクル | 12~20か月 | 日足~週足 | 1年~3年程度の長期サイクル |
長期サイクル | 40~100か月 | 週足~月足 | 3年~8年程度の超長期のサイクル |
サイクルの期間を見る例
1Dayサイクル


4Hサイクル


プライマリーサイクル


相場はすべて7種類のサイクルで構成されている
というのがサイクル理論の結論です。
例えば、1Dayサイクルなら24時間程度で「上昇トレンド → 転換 →下降トレンド」と1つのサイクルをつくり、24時間ごとに同じサイクルを繰り返していくと見ていきます。
サイクルを繰り返すイメージ


FXの場合は、通貨ペアごとにサイクルの始まり・終わり・周期が異なります。
通貨ペアごとに異なるサイクルの起点・終点を見つけることでトレンド転換のポイントを探ることができるのです。



自分が取引したい通貨ペアが、どんなサイクルで動いているのかわかれば、より正確な売買タイミングが計れるよ!
サイクル理論の見かた・使い方





トレードするときはどのようにサイクルを見ていけばいいの?



まず短期・中期・長期と投資スタイルに合わせてサイクルを見つけていこう!
具体的にチャートを見ながら解説していくね。
投資スタイルに合わせたサイクル理論
チャートからサイクルを見極める方法は、短期・中期・長期とそれぞれの投資スタイルに合わせて、7種類のサイクルを使い分けていく方法があります。
短期トレード(デイトレード・スキャルピング)
デイトレードやスキャルピングなどの短期トレードでは、1Dayサイクルまたは4Hサイクルが目安になります。
- 1Dayサイクル → 24時間周期(1分足~1時間足チャート)
- 4Hサイクル → 5~8日周期(1時間~4時間足チャート)
チャートで見る1Dayサイクル(AUDJPY30分足チャート)


短期30分足チャートでプライマリーサイクルを見た場合、上図のチャートでは「下降トレンド → 転換 → 上昇トレンド」のサイクルを5つ以上確認できますね。1つのサイクルはおおむね1日単位で繰り返されています。
例えば、サイクル①、サイクル②の間隔はほぼ1日となっていて、1つのサイクルができるタイミングが非常に似ています。
次のサイクル③、サイクル④も同じ期間やタイミングで動く可能性があるということです。
サイクル③、サイクル④のサイクルがサイクル①、サイクル②と同じように反発するごとに「買い」「売り」のタイミングが計れるのです。
ただし、サイクル④のようにダマシが入る場合もあります。
もし、想定どおりに価格が動かなかった場合は即損切りしましょう。
中期トレード(数週間~数か月のスイングトレード)
数週間~数か月の中期トレードでは、トレーディングサイクルまたはメジャーサイクルを使って分析します。
- トレーディングサイクル → 1週間~3週間周期(4時間足チャート)
- メジャーサイクル → 3週間~1か月周期(4時間・日足チャート)
- プライマリーサイクル → 5か月~7か月周期(日足・週足チャート)
チャートで見るプライマリーサイクル(AUDJPY日足チャート)


中長期でサイクルを見た場合、上図のチャートでは「上昇トレンド → 転換 → 下降トレンド」と大まかに1つのサイクルが確認できます。
例えば、判断に悩むのが①の反発している箇所です。
①では反発上昇しているので、ここから下落のサイクルが完結して次の上昇サイクルが始まりそうです。
しかし、プライマリーサイクルは1つの期間の目安が5か月以上なので、①の箇所ではまだ3か月で短すぎます。
ということは、まだサイクルが終わっていない(下降トレンドが続く)かもしれないと判断することができます。
そのあと、再び下降トレンドが継続し、5か月目の②で上昇に向かった時に「買い」のタイミングを計ることができるということです。
長期トレード(数か月~数年の長期トレード)
数か月~数年以上の長期トレードでは、プライマリー・中間・長期サイクルを目安に見ていきます。
- プライマリーサイクル → 5か月~7か月周期(日足・週足チャート)
- 中間サイクル → 1年~3年周期(週足チャート)
- 長期サイクル → 3年~8年周期(週足・月足チャート)
チャートで見る長期サイクル(AUDJPY月足チャート)


3年以上の超長期でサイクルを見た場合、上図チャートでは「下降トレンド → 転換 → 上昇トレンド」のサイクルを3つ見つけることができます。
例えば、サイクル①、サイクル②は3年~4年で完結しています。
ちょうど、1つのサイクルが完了しようとした時がエントリー・エグジットのタイミングとなります。
「下降トレンド → 転換 → 上昇トレンド」とサイクルが完了して、価格が下に向かうタイミングで「売り」を計ることがでいますよね。
③のサイクルはまだ2年程度です。ということは長期で見た場合、まだ1つのサイクルが完了しておらず、まだ価格が上昇する可能性があるということが分かります。
ローソク足の本数で見る方法もある
1つのサイクルが完了する期間を、ローソク足の本数で見ていく方法もあります。
- 1Dayサイクル → 5分足(50本~100本)
- 4Hサイクル → 4時間足(60~80本)
- トレーディング・メジャー → 日足(30~45本)
- プライマリー・長期 → 週足(15~21本)
プライマリーサイクル ローソク足本数の例


ただし、ローソク足の本数は全く同じ数字になるわけではないので、あくまで目安として見ていきましょう。



一応基準となるサイクル期間の目安はあっても、通貨ペアや時間足ごとに1つのサイクルも変わってくるよ。
自分なりに「使える!」と思えるサイクルの基準を見つけることが成功のコツなんだ。
複数のサイクルを組み合わせる方法
1つの期間のサイクルだけでなく、短期・中期・長期と異なる時間足のサイクルを組み合わせることで、より確実な売買タイミングを計ることができます。
次に、複数のサイクルを組み合わせる方法をチャートで見ていきます。
短期・中期・長期 3つのサイクル


1つの長期サイクルは複数のプライマリーサイクルが動いています。
さらに1つのプライマリーサークルの中にはさらに期間が短い1Dayサイクルが動いています。
ということは…
短い期間のサイクルは長い期間のサイクルの中で動いていく。つまり短期・中期サイクルの値動きは長期サイクルから大きくはずれることはないということです。
結論、「短期・中期・長期サイクル」を同時に見ることで、より確実なトレンドの転換ポイントが見えてくるのです。
チャートで見る複数のサイクル


上図のチャートでは、長期サイクルの転換点で、ちょうど短期の1Dayサイクルとプライマリーサイクルも重なっています。
3つの転換点が重なったことで、上昇への可能性が非常に高くなるということです。
つまり…
複数のサイクルが同時に転換する時を狙ってトレードすれば勝率がかなり高くなるということです。
最初は1つのサイクルで分析してみて、慣れてから複数のサイクルを使っていくのがよいでしょう。



チャート分析に慣れていないことは、ちょっと使いこなすのが難しいかもしれないね。
ローソク足やトレンドラインなど基本を学んでから、初めてみるのがいいよ。
サイクルの引き方
ZigZagを使ってサイクルを表示させよう


インジケーターのZigZagを挿入すると、上下のトレンドに自動でラインを引いてくれます。
ZigZagの期間を短期・中期・長期と変えて挿入すれば、簡単にラインが表示されます。
短期・中期・長期で活用する方法
ZigZagのパラメーターの設定を「Depth」のみ3種類に変更します。


デフォルトでは12になっていますので、この数値を短期・中期・長期で変えましょう。
- 5(短期)
- 12(中期)
- 25(長期)
わかりやすいように線の色や太さを変えておきましょう。


チャートで見る3本のZigZag


※ラインが重なるところは1本のラインしか表示されないこともあります。
短期・中期・長期と期間を変えて3本のZigZagを入れると、上図チャートのように3種類のZigZagラインが見えます。
3本のラインがちょうど重なった部分で相場が転換する可能性が高くなると判断することができます。
- 3本のラインが下から上に向かってきて重なる → 売りのタイミング
- 3本のラインが上から下に降りてきて重なる → 買いのタイミング
というようにZigZagをサイクルラインの代用として活用することができるのです。



ZigZagを使えばサイクルが簡単に見つけられるね。
ZigZagは自動描写ツールで、おおまかなサイクルしか表示できないからしっかりと自分で分析してサイクルを引けるように練習していこう。
サイクル理論は宇宙の法則とつながっている!?


占星術や天文学を基盤にした相場理論が果たして、本当にチャート分析で役に立つのか疑問に思う方も多いでしょう。
ですが、占星術を投資に活用していた投資家や著名人は結構多いのです。
米国大手銀行「JPモルガン・チェース」の設立者、モルガン・スタンレーは占星術にて重要な取引日を決めていました。
Millionaires don’t use Astrology, billionaires do.
百万長者は占星術は使わない。でも億万長者は使う。
という言葉を残しています。
他にも、ジョージ・ロスやジム・ロジャースなどの資産家兼投資家、元米大統領のドナルド・レーガンなど占星術で重要な取引・日程を決めていたことで有名です。
もしかしたら、人の力ではどうしようもない宇宙の法則が、経済やその他もろもろの出来事を本当に動かしているのかもしれません。
サイクル理論は、データや数値だけでは測れない宇宙の法則に基づいた理論です。
普段のチャート分析と併用することでより確かなヒントを与えてくれるでしょう。