2022年は、日本をのぞいて各国が利上げに急いだ年でした。
ドル円は、まさかの150円まで上昇し約32年ぶりの円安を記録。いったいどこまで円安が続くのか、日本の将来を心配したトレーダーは多いのではないのでしょうか。
2023年も円安は続くのでしょうか?それとも、いよいよ円高に向かい始めるのでしょうか?
今回は、2023年のドル円の見通しを、ファンダメンタルとテクニカル分析で紹介していきます。
円安シナリオ、円高シナリオと両方の可能性を見ていきますので、ぜひ、今後の参考にしてみて下さい。
2023年のドル円相場はどうなる?


ドル円は150円まで上昇したね!
2023年はもっと上昇するのかな・・・?



結論、上昇トレンドはまだまだ続くと思うよ。
ただ現在のドル円は急激に上昇しすぎているから来年は一旦調整が入ると考えている。
円安はいつまで続くのか


2018年以降のドル円は円高基調にありました。2020年3月のコロナショック時に、101円の安値をつけたあと流れが変わったのが21年の年明けからです。
21年の1月はドル円上昇から始まり、その後はひたすら上昇・円安へと加速しています。
2022年5月に20年ぶりに130円を突破し、円高への転換を期待したものの、円安はとどまるところを知らず高値を更新。
とうとう2022年10月には150円台を32年ぶりに突破してしまったのです。
さすがに150円の円安に危険を感じた日本政府は為替介入を開始。日銀の巨額な「ドル売り円買い」でようやくドル円は140円前後まで落ち着きました。
“日銀総裁、為替介入「適切な措置」だったと述べる“
しかし、日銀の為替介入も限界があるので、この後も再び円安に向かう可能性は十分にあります。
円安が続くとすれば「いったいどこまで円安が進むのか?」FXトレーダーの誰もが模索しているところでしょう。
そこで、円高に進む可能性を吟味するために、円安に進む理由を一緒に考えてみましょう。
なぜ円安がこんなに進んだのか?
円安が進んだ一番の理由は米国との「金利差」です。
主要国の金利


日本以外のほとんどの国がインフレを引き締めるために、ものすごいペースで「利上げ」を行っています。
とくに米国と円の金利差がこれまでになく広がっているため、ドルに資金が流れやすくなっています。
- 日本の政策金利 → -0.10%
- 米国の政策金利 → 3.75%
金利差のイメージ


定期預金を例に見るとわかるように、もし100万円を預け入れるのであれば、金利が高い銀行を選びますよね。
ドル円と米国長期金利の推移
米国の金利とドル円のレートは、ほぼ連動して上昇する傾向にあります。
ということは…
米国の利上げが続くかぎり円安がさらに進む可能性があるということです。
反対にもし…
米国の利上げが落ち着いたとして、日本が利上げを実行するなら円高が急加速する可能性があります。



FRB、日銀の政策金利が円高・円安を判断する1つの重要なポイントになるから覚えておこう!
短期~長期で見る今後のドル円



じゃあもし、金利が変わって円安が進むならどれくらいまで下落するのかな?



現在のドル円は上昇しすぎているので、12月は一旦下落すると考えている。
その根拠はこちらの動画で解説しているから一度見てみてほしい。
短期で見るドル円チャート(1H足)


約2か月の短期で見ると、円安に向かうとすれば147.90円~151.58円あたりまで昇る可能性がありますが、ここまで上昇するためには週足チャートで調整局面が必要と考えています。
イメージとしてはこのような感じの調整です。


ただし、ここから過度の円高相場になる場合は、大きな急落も考えることができるので、このようなイメージで下落することも考えておかなければなりません。


現在のドル円は買いが強いからと言って、むやみに上昇を期待するのではなく、しっかりとドルが買われる材料が揃ってから、ドル円を買うようにしましょう。
現在のドル円は大きく下落する可能性も秘めているということはしっかりと頭に入れておきましょう。
ファンダメンタル分析で見るドル円の今後
JPモルガン…「ドルの強さは持続、円が魅力的に」


「ドルの強さは持続すると予想されるが、サイクル後期のダイナミクスが鍵となる」
出典:Bloomberg
米大手金融のJPモルガンによると、2023年も引き続きドルの強さは継続するが、これまでの利上げの結果からインフレーションが若干おさまり緩やかなリセッションが始まると考えています。
リセッションの影響からFRBは利上げのペースを落とす可能性が高いということ。
リセッション突入、利上げの緩和から、低金利通貨への圧力が薄れるとの見解です。
「安値にある円が魅力的な候補となる」と円買いを示唆しています。
また、一歩遅れて到来した日本のインフレで、日銀の利上げ説もあるようです。
「2023年後半のドル円相場は130円~133円」との見通しです。
参照:JPモルガン円相場は130円に~ Quick Money World
ゴールドマンサックス・・・「ドル円 見通しを上方修正」


一方、米大手ヘッジファンドのゴールドマンサックスは、2023年ドル円の見通しを、従来の予想から時期によって5円~20円ほど上方修正しています。
ゴールドマンの見解では、米国の利上げはまだ持続するとの見方。
日米の金利格差によって、円安がさらに進む可能性があると考えています。
11月時点において、「3か月→155円」「6か月→155円」「12か月140円」との予想です。(従来は150円、135円、125円)
インフレと利上げが相場予想のポイントか!?


2023年最初のFOMCはかなり注目されそうです。
また、インフレに対して日銀がどう反応するかが注目されています。
ただし、ドル円相場を左右するのは政策金利だけではありません。
米国の雇用統計やGDP、日本の貿易収支など、インフレ・利上げ情報にアンテナを張りながらも、米国や日本の経済情勢もしっかりチェックして円高・円安の手ごたえをつかんでいきましょう。