いざトレードを始めようと思った時に、どのようにチャートを見ればよいのか戸惑ってしまいますよね?
FXにしても株式にしても、ほとんどの投資系チャートではローソク足と呼ばれる表示方法が使われています。
ローソク足は世界中で使われている素晴らしいチャートで、ローソク足の見方・使い方がわかれば、より最適な売買タイミングが計れるようになります。
まずは、そもそもローソク足とはどんなチャートなのか確認していきましょう。
ローソク足チャートとは?





ローソク足チャート


上図のようにローソクのような形が並んだチャートがローソク足チャートです。FXや株式など、投資関連のチャートでは大抵ローソク足が使われています。


他にもラインチャートやバーチャートなどがあります。
ちなみに、簡単にいうとラインチャートはその時々の価格をラインで結んだもの。バーチャートはローソク足を簡略化したチャートのことです。
なぜローソク足が使われているのか








どういうことかというと……
ローソク足には、長かったり短かったり、上下にラインがついていたりとさまざまな形状があります。1本1本のローソク足には実に多くの情報が含まれていて、市場に参加していなかったとしても、ローソク足を見ただけで、市場がどのように動いたか知ることができます。


さらに、市場動向だけでなく投資家心理・市場心理を読むことも可能です。ローソク足は世界中で使われている素晴らしいチャートなのです!
ローソク足の起源と歴史
では、これからローソク足を学んでいくにあたって、最初にローソク足の起源や歴史をちょっとのぞいておきましょう。
ローソク足が生まれたのは実は日本の江戸時代。米商人・本間宗久氏がつけていた米取引の帳簿が起源となっています。
本間宗久氏はより有利な米取引を実現するために、あちこちの取引所を走り回り価格を研究していました。多忙な日々が続く中、簡単に帳簿をつける方法はないか、と考案されたのがローソク足だったのです。
当時は陰陽足という名称だったようです。後になって、ローソクに似ていることからローソク足と呼ばれるようになりました。
世界に紹介されたローソク足
江戸時代に開発されたローソク足は、利便性・分析機能に優れていることから多くの米商人・相場師によって代々受け継がれていきました。
そして1990年代に入ってから米国の分析アナリストSteve Nison(スティーブ・ニソン)がローソク足の素晴らしさに着目。米国の投資情報誌や出版物などで紹介したのをきっかけに、世界中で使われるようになりました。


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相場秘伝 本間宗久翁秘録を読む
ローソク足に関する書籍は、それこそ数え切れないほどの種類が出版されています。Amazonなどで探すことができます。



ローソク足の基礎知識


さてそれでは本題に入り、ローソク足を全くの基礎からわかりやすく解説していきます。
まず最初に見ておきたいのが、ローソク足のベーシックとなる4つの価格です。
ローソク足の四本値


さまざまなタイプのローソク足があるのですが、すべてのローソク足は市場分析で重要な4つの価格を表しています。
- 始値 → 最初に取引された価格
- 終値 → 最後に取引された価格
- 高値 → 一番高額で取引された時の価格
- 安値 → 一番低額で取引された時の価格
これら4つの価格が「ローソク足の4本値」になるのです。
さらに……
- 始値よりも終値が高い時 → 陽線ローソク足
- 始値よりも終値が安い時 → 陰線ローソク足
といって、陽線と陰線と「2色のローソク足」に分けられています。
ローソク足の色はチャートごとに異なります。自分で色の設定をすることも可能です。チャートを見る時は、どちらが陽線なのか陰線なのかを確認しておくようにしましょう。



ローソク足の時間・期間
1本のローソク足は、ある限られた時間・期間内での価格動向を表すチャートです。どれくらいの時間・期間になるかは、それぞれで選択する時間足で変わってきます。
通常、チャートでは時間足が選択できるようになっていて、
- 月足 → ローソク足1本 = 1か月
- 週足 → ローソク足1本 = 1週間
- 日足 → ローソク足1本 = 1日
- 4時間足 → ローソク足1本 = 4時間
- 1時間足 → ローソク足1本 = 1時間
- 30分足 → ローソク足1本 = 30分
などが選択できます。



ローソク足 陽線


陽線は上昇を表すローソク足です。始値よりも終値の方が価格が高くなっていることを意味しています。
上から順番に
「高値 → 終値 → 始値 → 安値」
が表示されます。
陽線の取引価格の流れ


上図のような陽線では、最初の取引が100円でスタート。途中で90円まで価格が下がったものの、一旦は130円まで価格が上昇。そして最終的には120円で取引されたことがわかります。
ローソク足 陰線


陽線とは反対に、陰線は下降を表すローソク足です。
上から順番に
「高値 → 始値 → 終値 → 安値」
と見ていきます。
陽線の取引価格の流れ


上図のような陰線では、最初の取引が120円でスタート。途中で130円まで価格が上がったものの、一旦は90円まで価格が下落。そして最終的には100円で取引されたことがわかります。
陽線と陰線を使った分析手法






陽線が多いチャート


こちらのチャートでは全体的に陽線ローソク足が目立ちますね。陽線が多いということは「上昇に向かっている = 買いが優勢」な状態と見ることができます。
最終的に価格は大きくジャンプしています。
陰線が多いチャート


一方、こちらのチャートでは陰線ローソク足が増えてきています。陰線が増えているということは「下降に向かっている = 売り相場」になっている表れなのです。
その後、価格はどんどん下がっていますね。



代表的なローソク足の種類


チャートを見るとわかるように、長さや形状が異なるさまざまなタイプのローソク足があります。
1本1本のローソク足は、単に4本値がわかるだけでなく、その時々の市場心理など多くのことを教えてくれます。1本1本それぞれ、実に深い意味を持っているのです。
ここでは、代表的なローソク足の種類を覚えていきます。
ローソク足一覧表
最初にローソク足にはどんな種類があるか一覧表で見ておきましょう。


国内・海外ともに、よく使われている代表的なローソク足には、上図のようなものがあります。初心者がまず覚えておきたいローソク足です。
同じローソク足でも、色んな呼び方があり混乱することもあるかもしれません。名称や愛称よりも、ローソク足の形で覚えるようにするとよいでしょう。
では、それぞれのローソク足が何を教えてくれるのか、もっと詳しく見ていきます。
大陽線と大陰線


大陽線
大陽線は、フルボディの長い陽線ローソク足のことです。多少の上下はあったとしても、始値から終値までがっつりと価格が上昇していることを表しています。
大陽線 = 強い買い相場 = 上昇サイン
上昇への期待に迷いがなく、投資家心理が強気の時に出現するローソク足です。
大陰線
大陰線は、フルボティの長い陰線ローソク足のことです。価格が上下しつつも、始値から終値まで一気に下落したことを教えてくれます。
大陰線 = 強い売り相場 = 下降サイン
インパクトが強いネガティブなニュースで投資家心理が悪化、パニック売りが始まる時によく見られます。
チャートで見る大陽線


短いローソク足が連続する中で大陽線が出現した時は、上昇トレンドのきっかけとなることが多いです。最初の1本目はすぐに価格が元に戻ることもありますので、様子を見た方がよいです。
直近のローソク足の2倍~3倍以上の大陽線が出現したら、かなり強い上昇サインと見ることができます。次のローソク足が上昇に向かうのを見届けたうえで「買い」たいですね。
大陽線の出現から投資家心理が改善。強気になる投資家が増えると予想できます。
チャートで見る大陰線


基本的に相場は「買い」よりも「売り」の方が加速しやすい傾向にあります。大陰線が出現したら要注意です。ここから売りが加速する可能性があります。直近のローソク足の2倍以上の大陰線が出現して、次のローソク足が下がり始めたら「売り」を考えます。
大陰線の出現自体に恐れおののく投資家が急増し、パニック売りへと展開することもあります。
小陽線・小陰線


小陽線
小陽線は、ボディがほとんどない短い陽線ローソク足のことです。情報が乏しい時や、様子見態勢に入っている時に出現します。4本値がほぼ同じ位置にあり、価格が動いていないことを意味しています。
小陽線 = 様子見 = 弱めの上昇サイン
経済や景気の見通しが不透明で、投資家がどちらの方向に行くべきか決めかねている状態だと言えるでしょう。小さいながらも陽線が出ているので、何かをきっかけに上昇に向かう可能性があります。
小陰線
小陰線は、短い陰線ローソク足のことです。様子見態勢にありつつも、やや下降に傾きかけていることを表しています。
小陰線 = 様子見 = 弱めの下降サイン
ネガティブな材料が多い中でも、売りに踏み切れない投資家が多い時に現れやすいです。小陰線の場合も、ちょっとしたきっかけで大きく下がり始める可能性があります。
チャートで見る小陽線


小陽線が連続で出現したら、しばらくどちらの方向に向かうのか様子を見ます。下降トレンドが継続していた場合は、小陽線の出現が上昇トレンドに切り替わるサインとなることが多いです。
このチャートでは徐々に買いが入り始めて、ローソク足が上に向かい始めていますね。小陽線よりも明らかに長い陽線が出始めたら、割安感から買い始める投資家が増えている表れ。陽線が上に伸びるのを確認したら「買い」のタイミングを探します。
チャートで見る小陰線


小陰線が連続で出現している時はしばらく様子を見てみます。とくに、高値圏にある時は利確を迷う投資家が増えている可能性が高くなります。
このチャートの場合は、大陰線の出現が利確を促しているようです。大陰線が2倍3倍と拡大するのを確認したら「売り」がよさそう。
ハンマーと逆ハンマー


ハンマー
ハンマーは、買いの勢いが強いことを表すローソク足です。小さなローソク足のボディの下に長いラインが形成されます。一旦は売りの勢いがかなり強かったということです。
ハンマー = 強い買い相場 = 上昇サイン
価格が下がりきったにも関わらず、上昇に切り返しているということは、下から押し上げる力が非常に強いことを意味しています。こんなに下がって割安じゃないか、買うなら今だというムードが旺盛な表れです。
ただし、高値圏で出現した時は、迷いがあることの表れでもあり、下降のサインとして見られています。
逆ハンマー
逆ハンマーは、ハンマーと逆の意味で、売りの勢いが強いことを表すローソク足です。小さなボディの上に長いラインが形成されます。一旦は買いが進んだことを表しています。
逆ハンマー = 強い売り相場 = 下降サイン
価格が上昇したにも関わらず、下降に反転しているということは、売り急ぐ力が非常に強いと見れるのです。早まったかもしれない、今のうちに売っておけというムードが強まっている表れです。
ただし、安値圏で逆ハンマーが出現した時は、買いが出始めていることの表れで上昇サインとして見ることもあります。
チャートで見るハンマー


下降トレンドが継続した後で、ハンマーが出現したら上昇トレンドに転換するサインと見ることができます。ハンマーの後で上昇を確認したら「買い」のタイミングを見ます。
ハンマーの直前のローソク足の高値を超えるかどうかが判断の目安となるでしょう。
チャートで見る逆ハンマー


高値圏で逆ハンマーを確認したら要注意。このチャートでは2回出現しています。同時に連続する大陰線が下降を示唆しています。
ハンマーの次のローソク足が下がり始めたタイミングで早めの「売り」がいいでしょう。
十字線・一本線


十字線
十字線は、相場が均衡状態にあり買いと売りが同じぐらいの強さにあることを表しています。慎重にブレイクを待っている時など出現することが多いです。
高値圏・安値圏で出現する十字線はトレンド転換を教えることもあり、とくに重要なローソク足として見られています。
- 上昇トレンドの十字線 → 下降トレンドへの転換 → 売りのサイン
- 下降トレンドの十字線 → 上昇トレンドへの転換 → 買いのサイン
一本線
一本線の場合も、十字線とほぼ同じ意味を持っていますが、取引が極端に少ない時に出現することがほとんど。ひとまず覚えておくとよいでしょう。
チャートで見る十字線


このチャートでは、まず下落の局面にて救世主のごとく2連続で十字線が出てきています。その後で、陽線ローソクが続き買いが増えつつあることを教えています。ハンマーらしきローソクも確認できますね。
そして、さらに十字線が2連続で、上昇トレンドへの確証が強まります。長めの陽線が出てきたら「買い」でエントリーしたいところ。
想定通りに上昇トレンドが継続したら、今度は売りのサインを待ちましょう。天井付近で十字線が連発。そろそろかなと「売り」で勝ち逃げできそうです。
ドラゴンフライ・グレーブストーン
ドラゴンフライ
ドラゴンフライとは、英語でトンボを意味します。長いT字型のローソク足をドラゴンフライと言います。トンボ、T字型、ハンマーと呼ばれることもあります。
ドラゴンフライ = 強い買い相場 = 上昇サイン
見方や使い方はハンマーと同じで、ローソクのボディがほとんどないのが特徴です。ハンマーよりも強い上昇サインと見なされています。
グレーブストーン
グレーブストーンは、英語の墓ほり石のこと。何だか不吉な予感がするローソク足です。その名のとおりに、強い下降サインとして使われています。
グレーブストーン = 強い売り相場 = 下降サイン
グレーブストーンは逆ハンマーのパワフル版です。逆ハンマーよりも下降の可能性が強いと判断します。
チャートで見るドラゴンフライ


見かけてうれしいのがドラゴンフライです。下降トレンドが継続した後でドラゴンフライが羽ばたき始めたら、そろそろ買いの準備です。
上図チャートではドラゴンフライが2つ出ています。陽線が増えていることからも上昇サインがキャッチできます。大陽線が伸び始めたら、強気の「買い」でトンボのように流れに乗っていきたいところ。
チャートで見るグレーブストーン


高値圏で出現するグレーブストーンはまさに墓ほり石です。逃げ遅れると大変な目に合う可能性があります。ロングのポジションにて、高値圏でグレーブストーンを確認したら、早めの「売り」で避難するのが無難かもしれません。
ローソク足を読むコツと注意点








ローソク足のボディ・長さを見る


まず、ローソク足を見る時には、ローソクのボディが長いか短いかを見極めます。
- ローソクのボディが長いほど → 買い・売りの勢いが強い
- ローソクのボディが短いほど → 様子見ムードが強い
と見ることができます。ボディの長さから、市場動向や投資家心理を探ってみましょう。



トレードが上手い人は2通りある気がする
— k (@xyjwQnIXlJncYoV) May 24, 2022
1つはローソク足からチャートパターンやパワーバランスを見極めてトレードしている人
もう一つは値幅を極めてチャネルやフィボを使い決めた値幅を切り取るようなトレードの人
ローソク足の上下のラインを見る


次にローソク足で確認したいのは、上下に伸びるラインの長さです。
- ラインが長くなるほど → 切り返す・はね返す力が強い
- ラインが短くなるほど → 方向性に迷いが出てきている
というように、ラインの長さからも、上昇や下降の勢いがどれくらい強いのかを計ることができるのです。



ニュースは誰かの思惑が入っている可能性があるかもしれないが、ローソク足は事実であり、嘘が付けない現実
— フミ丸の大冒険 (@FumimaruBouken) May 18, 2022
ローソク足だけに依存しない
そして、ローソク足を見る時にもう1つ重要なポイントがあります。それは、ローソク足だけに依存しないことです。数多くの分析手法がある中、どの手法も100%完璧ではありません。
どんなにローソク足が優れた分析手法だとしても、依存しすぎるのは危険です。
チャート分析は、どの手法を使う場合でも必ず複数の手法にて裏付けをとることが大切です。ローソク足以外の分析手法も併用して使っていきましょう。



127円割ったのね…😅
— ayan (@ayanunicco) May 24, 2022
久しぶりにローソク足の形に着目して丁寧にポジったのに大きく逆方向に…😭😭
ローソク足分析のポイント
ローソク足が上昇サインなのか下降サインなのかを見分ける方法は大きく3つあります。
ローソクのボディの長さ


- ローソク足のボディが長い → 上昇・下降の勢いが強い
- ローソク足のボディが短い → 上昇・下降の勢いが弱い
上下のラインと長さ


- 下のラインが長い → 買い戻す力が大きい
- 上のラインが長い → 売り急ぐ力が大きい
十字線・ドージ


- 上下のラインの長さが同じ → 買いと売りの強さが同じぐらい
- ボディがほとんどない → 様子見・迷いがある
というように、ローソク足の長さやラインの違いから、相場動向のヒントが得られます。
1本1本のローソク足は多くのことを教えてくれる!


今回見てきたように、1本1本のローソク足には極めて多くの情報が隠されています。ローソク足が読めるようになると、より最適な売買タイミングが計れるようになるのです。
ただ、ローソク足の意味は一般的に基準化されてはいるものの、実際には投資家ごとに若干解釈がちがってくるのが現状。前後の組み合わせによって意味が変わることもあります。
色んなタイプのローソク足を見ながら、自分なりに研究していくことが大切です。ローソク足はチャート分析の基本中の基本。一生もののスキルです。これから始まる投資の長い道のりにおいて、きっと有力な武器となるでしょう。