FXのスプレッドはトレードする度に発生するコストであり、資産を増やす上できちんと理解する必要があります。
一方、具体的なスプレッドの仕組みが分からず、ぼんやりした状態でFXを始めて思うように利益が増えない方も多いでしょう。
この記事では、FXのスプレッドの基本情報や計算方法、通貨ペアとFX会社を選定する際のポイントも解説します。
スプレッドが拡大しやすいタイミングについても解説しているので、より安全性を高めてトレードしたい方もぜひ参考にしてください。
FXのスプレッドとは?取引手数料とは違うの?


FXのスプレッドはとてもよく見るけど、そもそもどんな仕組みなの? 取引手数料とは違うの?



FXのスプレッドは通貨ペアの売値と買値の価格差で、取引手数料ではないんだ。ただ損益に関わるコストではあるから、仕組みと計算方法はしっかり覚えておこう。
通貨ペアの売値と買値の価格差
FXのスプレッドとは、通貨ペアにおける売値と買値の差額を意味しており、取引手数料とは異なる実質的なトレードコストとなります。
【売値100円・買値101円のUSD/JPY】


具体的に、スプレッド1円のUSD/JPYを100円で買いエントリーした場合は、1円分の*含み損を抱えた状態からスタートし、101円に価格上昇するまで利益が得られないのです。


すなわち、スプレッドは狭く設定されているほどトレーダーにとって有利であり、収益効率を高める上では大変重要なポイントといえます。
FXのスプレッドの計算方法
FXのスプレッドはトレードの損益に大きな影響を与えるため、瞬時に把握できるよう、計算方法も身につけておいた方が良いでしょう。
下図は国内FX会社「みんなのFX」のプライスボードであり、さまざまな通貨ペアの「Bid(売値)」「Ask(買値)」が表示されていますよね。


そして、USD/JPYの売値は135.745円、買値は135.747円なので、スプレッドは差し引きした0.2銭となります。


スプレッドの単位は2種類
スプレッドの単位は2種類に分かれており、日本では「銭」海外では「Pips」となります。


円 | 銭 | Pips |
---|---|---|
0.01円 | 1銭 | 1pips |
0.1円 | 10銭 | 10pips |
1円 | 100銭 | 100pips |
多彩な通貨ペアをスムーズにトレードできるように、きちんと把握しておいてくださいね。
FXのスプレッドから通貨ペアを選ぶ時のポイント2つ





FXのスプレッドについては分かったけど、通貨ペアを選ぶ時はどんなポイントに注意すれば良いの?



ここからは、スプレッドをもとに通貨ペアを選ぶ時のポイントを2つ確認していこう。
通貨ペアによってスプレッドの幅は違う
FXのスプレッドはすべての通貨ペアで同じというわけではなく、市場の流動性と価格変動の度合いによって大きく異なります。
流動性とは
FXにおける流動性は「注文の通りやすさ」を意味している。注文数が多く希望価格で約定されやすい場合は流動性が高く、注文数が少ない場合は流動性が低いという。
たとえば、参加トレーダーが多いUSD/JPYは特定の注文に対する反対注文も豊富(流動性が高い)なので、突発的な値動きが起こりにくくスプレッドも狭い傾向です。


【USD/JPYの5分足チャート】


一方、TRY/JPYのような流動性が低い通貨ペアは、注文数が少ないことから価格が変動しやすいため、スプレッドを狭くすると簡単に利益を獲得できてしまいます。
そのため、FX会社はUSD/JPYといったメジャー通貨よりも、スプレッドの幅を広く設定しているのです。


【TRY/JPYの5分足チャート】


もちろん、流動性が低い通貨ペアにも短期的に大きな利益が見込めるメリットはあります。
しかし価格変動リスクやスプレッドの広さを考慮すると、初心者のうちは避けた方が良いでしょう。
流動性が低い通貨ペアはスプレッドが広がりやすい
FXのスプレッドは完全に固定されているわけではなく、どんな通貨ペアでも相場全体の流動性が低下すれば価格差が広がる可能性があります。
DMM.FX、指標発表前に10pipsスプレッド開くのやめて欲しいです
— ゑびす(•́ε•̀) 🐦🐍🐉 (@tabitabi4u_fx) November 17, 2020
🇹🇷トルコリラ円🇯🇵
— 武器屋トルネコ (@bukiyatoruneko) August 10, 2018
スプレッドwww pic.twitter.com/drm887GMRL
当然、不用意にエントリーすると大きな損失を抱えてしまうので、スプレッドが広がるタイミングはトレードを控えた方が良いでしょう。



できることならスプレッドが広がるタイミングをもっと具体的に知りたいな。



それじゃあ、ここからはスプレッドが拡大しやすいタイミングを3つに分けて確認していこうか。
スプレッドが拡大しやすい3つのタイミング
FXのスプレッドは以下3つのタイミングで広がりやすいため、あらかじめきちんと把握しておきましょう。
- 重要な経済指標発表の前後
- 世界的な休日などで参加トレーダーが減少する時
- 突発的なイベントの発表
たとえば、政策金利発表や雇用統計といった注目度が高い経済指標発表の前後は、様子を見るためにエントリーを控えるトレーダーが増加し、流動性も低下する傾向です。


加えて、クリスマス・年末年始といった世界的な休日では参加者自体が減少するので、通常の数倍以上にスプレッドが拡大するケースがあります。
クリスマス・年末年始にFXなんてやめてくださいね。
— えまっち💰ポイ活銀行員【公開垢】 (@ematty2) December 24, 2021
市場参加者が閑散として、スプレッドが普段の数倍~数十倍に拡大している業者も多いです
・24日(金)
・27日(月)
・31日(金)
各種キャンペーン期限との兼ね合いもあるけど、やるなら通常時スプレッドと差がないことを確認のうえ取り組んでください
また、大規模自然災害や軍事衝突などの突発的なイベントにおいては、売りか買いのいずれかに注文が偏りやすく、USD/JPYのようなメジャー通貨でも大きな価格差が発生するでしょう。


FXのスプレッドが狭い3つの通貨ペア





通貨ペアでチェックするべきポイントは分かったけど、スプレッドが狭い通貨ペアも知りたいな。



ここからは、スプレッドが狭い通貨ペアを3種類見ていこう。初心者でもトレードしやすい通貨ペアだから、ぜひ参考にしてね。
USD/JPY
USD/JPYは世界トップクラスの取引量を誇る通貨ペアです。
平均スプレッドは0.2銭と低水準であり、流動性が高いことから緩やかにチャートが変動します。
【USD/JPYの4時間足チャート】


EUR/JPY
EUR/JPYの平均スプレッドは0.4銭前後となっており、流動性が高く安定しているのでチャートも穏やかに推移することが多い印象です。
【EUR/JPY4時間足チャート】


EUR/USD
EUR/USDは世界で最も取引されている通貨ペアであり、平均スプレッドは0.4pips程度です。
【EUR/USDの4時間足チャート】


流動性が高いので基本的にはほどよい値動きとなる一方、重要な経済指標などのイベント時は大きな価格変動が発生するケースもあります。
【ユーロドルの値動きと材料】
— yamato @FX (@yamato1478) May 23, 2022
・昨日はラガルドさんの発言あり
→内容はタカ派
・ユーロドルは1時間の内に1.06付近から約80pips上昇
・本日も27時にラガルドさん発言あり
ボラティリティが高まりそうです#FX #ユーロドル pic.twitter.com/DmvfSMM524
FXのスプレッドからFX会社を選ぶ時のポイント3つ





FXのスプレッドが狭い通貨ペアは分かったけど、FX会社を選ぶ時はどんなポイントに注目すればいいの?



スプレッドをもとにFX会社を選定する時は、3つのポイントをチェックするのがおすすめ。ここからはそれぞれ詳しく確認していこう。
FX会社ごとのスプレッド幅には差がある
スプレッドの設定はFX会社ごとに異なるため、選定する際はきちんとチェックしなければなりません。
【みんなのFX】


【トライオートFX】


一見すると微々たる違いに思えますが、トレードを積み重ねていけば大きなコストに膨れ上がってしまいます。
各社をきちんと比較検討して、よりスプレッドが狭いところを見つけてみてくださいね。
約定力も加味して選定する
スプレッドをもとにFX会社を選定する際は、約定力についても把握しておいた方が良いでしょう。
約定力とは
トレーダーの注文を通す能力を指しており、FX会社のサーバーなどが強いほど希望価格で約定されやすい。約定力が弱い場合は発注価格と約定価格がズレる「スリッページ」が頻発する。
もしFX会社の約定力が弱いと、*スリッページによって不利な価格で約定する可能性があり、事前に想定していたスプレッド分よりもコストが膨らんでしまうのです。


約定力の水準は各社の公式サイトに記載されているケースが多いので、忘れずにチェックしておいてくださいね。


スプレッドとは別に取引手数料がかかるケースもある
FX会社はスプレッドとは別に取引手数料を設定しているケースもあり、もし見逃してしまうと思わぬコストを支払うことになります。


FXのスプレッドが狭い3つのFX会社





FX会社を選ぶ時のポイントは分かったけど、スプレッドが狭いところも押さえておきたいな。



ここからは、スプレッドが狭いFX会社3社を厳選して見ていこうか。どこも良質なサービスを提供しているから、ぜひ参考にしてね。
SBI FXトレード


SBI FXトレードは、幅広い金融商品を取り扱うSBIグループ傘下のFX会社であり、初心者にも分かりやすく操作性の高い取引ツールに定評があります。
そして、主要通貨ペアのスプレッドは取引量に応じて変動する一方、100万通貨までなら大変狭い水準です。
取引量 | USD/JPY(銭) | EUR/JPY(銭) | EUR/USD(Pips) |
---|---|---|---|
1~1,000通貨 | 0.09 | 0.30 | 0.19 |
1,001~ 1,000,000通貨 | 0.19 | 0.40 | 0.38 |
1,000,001~3,000,000通貨 | 0.40 | 0.50 | 0.79 |
3,000,001~10,000,000通貨 | 1.00 | 1.70 | 1.00 |
最低1通貨からトレードできる点も大きな魅力なので、少額からFXを始めたい方はさっそく公式サイトをチェックしてみてください。
みんなのFX


みんなのFXは、システムトレードやデモ口座といった多彩なツールを無料提供しており、主要通貨ペアのスプレッドに関しても*業界最狭水準となっています。
通貨ペア | スプレッド |
---|---|
USD/JPY | 0.2銭 |
EUR/JPY | 0.4銭 |
EUR/USD | 0.3pips |
みんなのFXはスワップトレードにもおすすめのFX会社なので、詳細は以下の記事を読んでみてください。


外為どっとコム


外為どっとコムは24時間対応(土・日を除く)のサポート窓口に加えて、業界屈指の豊富な情報コンテンツも無料提供しています。
通貨ペア | 午前9時~午前3時 | 左記以外の時間 | キャンペーン適用 |
---|---|---|---|
USD/JPY | 0.2銭 | 4.0銭 | 適用なし |
EUR/JPY | 0.4銭 | 0.5銭 | 0.4銭 |
EUR/USD | 0.3pips | 0.4pips | 0.3Pips |
USD/JPYだけは特定の時間帯で通常時との差が3銭を超えてしまうので、その点に注意して利用しましょう。
FXのスプレッドを知ってトレードのコストを抑えよう





FXのスプレッドを理解すれば、トレードのコストを抑えられそうね。



スプレッドの仕組みや計算方法を学んでおけばスムーズに損益の見通しが立てられるし、スプレッドが広がる理由も把握すれば安全にトレードできるんだ。今回はおすすめの通貨ペアやFX会社についても解説したから、上手く選べていない人はぜひ参考にしてね。
FXのスワップポイントで押さえておくべきポイントは以下の5つ。
- 通貨ペアによってスプレッドの幅は違う
- 流動性が低い通貨ペアはスプレッドが広がりやすい
- FX会社ごとのスプレッド幅には差がある
- 約定力も加味して選定する
- スプレッドとは別に取引手数料がかかるケースもある
そして、FX初心者はスプレッドが拡大しやすいタイミングのエントリーを控えるのがおすすめ。
あらかじめ経済指標発表などのスケジュールをチェックし、より安全性を高めてください。

